キャラクター&開発コンセプト
海外では「インフィニティ EX」
2009年7月13日に国内で発売された「スカイライン クロスオーバー」は、その名の通りV36型スカイラインをベースとする「クーペとSUV」の融合をうたったクロスオーバーモデル。北米では「インフィニティ EX」として2007年末から販売されていたもので、すでに欧州にも投入されている。
日本向け「スカクロ」のパワートレインは基本的に欧州仕様と同じで、現行スカイラインシリーズやZ34型フェアレディZでおなじみの「VVEL(ブイベル=バルブ作動角・リフト量連続可変システム)」付3.7リッターV6エンジン「VQ37VHR」と7速ATとなる。
装備面も充実しており、駐車ガイド機能が付くなど第2世代に進化したアラウンドビューモニター、そしてスカイラインシリーズでは初の全速度追従機能付インテリジェントクルーズコントロールや前方車両接近警報システム(FCW)、あるいはブレーキ制御による車線逸脱防止支援システム(LDP)といった先進装備を採用している。
生産はスカイライン等と同じ栃木工場(栃木県 河内郡上三川町)。国内の販売目標はスカイライン クーペと同じ月間200台と少なめだが、セダン(月間目標1000台)と共に、シリーズ全体で「スカイライン」の存在感を示したいところだ。
■参考(過去の新車試乗記 スカイライン シリーズ<V35/V36系>およびステージア<M35型>)
・日産 スカイライン クーペ 370GT Type P (2007年11月)
・日産 スカイライン 350GT Type SP (2007年1月)
・日産 スカイライン クーペ 350GT (2003年3月)
・日産 スカイライン 350GT-8 (2002年4月)
・日産 ステージア AR-X Four (2001年12月)
・日産 スカイライン 250GT (2001年7月)
価格帯&グレード展開
FRで420万円から。4WDは27.3万円高、「タイプP」は52.5万円高
全車3.7リッターV6の7ATだが、駆動方式はFRと4WD(27万3000円高)がある。それぞれに標準仕様のほか、レザーシートやアラウンドビューモニター等を備えた「タイプ P」(52万5000円高)があり、計4グレードとなる。
400万円台という価格帯はスカイラインとしてはやや高めだが、操作性に優れたカーウイングスHDDナビ(地デジ内蔵の最新バージョン)やBoseサウンドシステムが全車標であることを思えば、そう割高ではない。
オプションはサンルーフとルーフレールのセット(14万7000円)、全車速追従機能付インテリジェントクルーズコントロールなどのハイテク安全装備のセット(16万8000円)くらい。後者はぜひ注文しておきたい。
【スカイライン クロスオーバー】
3.7リッターV6(330ps/36.8kgm)・7AT
■370GT (FR) 420万円 ★今週の試乗車
10・15モード燃費:9.7km/L
■370GT Type P (FR) 472万5000円
10・15モード燃費:9.7km/L
■370GT Four (4WD) 447万3000円
10・15モード燃費:9.1km/L
■370GT Four Type P (4WD) 499万8000円
10・15モード燃費:9.1km/L
パッケージング&スタイル
(セダンではなく)クーペとSUVの融合
ボディサイズは全長4635mm×全幅1800mm×全高1575mm(ルーフレール装着車は1600mm)。目立つのはクロスオーバーをうたう割に、背が低いところだ。全高はXC60(1715mm)やアウディQ5(1660mm)はもちろん、スバルのアウトバック(1605mm)よりも低く、最低地上高も165mm(4WDで150mm)に過ぎない。
また全幅は欧州製SUVやムラーノなどより10センチほど小さく、エクストレイル(1785mm)と同じくらいで、意外にコンパクトと言っていいだろう。
コンセプトとしては「クーペとSUV」の融合であり、その上のインフィニティ FX(エンジンはV6とV8がある)と差別化する上でも、スタイリングは思い切りスポーティに振ったようだ。FRベースならではのロングノーズを強調したサイドビューもそうした印象を強めている。
またホイールベースはセダン/クーペよりわざわざ50mm詰めて2800mm。これもあくまで見た目の間延び感を無くすための処置だという。
着座位置はセダン比で約70mmアップ
インパネの操作系レイアウトはセダン/クーペ系とほぼ同じだが、デザインはクロスオーバー専用だ。「ブラッククオーツ」と呼ばれる独特の化粧パネルやメッキパーツが奢られ、高級感はかなり濃いめ。助手席側のダッシュボードに張られた「溝」入りのソフトパッドも今回初めて見るもので、このところの日産らしくインテリアには凝っている。
運転席の座面高はセダン比で約70mm、クーペ比で約100mmほど高い616mmとなり、視点も高まったほか、乗降性も向上。ヒール段差(床面から座面基準高までの高さ)も大きくなり、着座姿勢もアップライトだ。シートサイズはやや小振りな印象を受けた。
そのシートの生地は、乗車(標準車)の場合、最近珍しい?分厚いモケット。一方、上級グレードの「タイプP」では黒のレザーとなり、さらにオプションで茶革とウッドパネル(カーリーメイプル)にも出来る。こうすると内装はさしずめ「フーガ クロスオーバー」といった雰囲気だ。
熟成のカーウイングスナビ
相変わらず感心するのはカーウイングスナビの使いやすさだ。スカイライン クロスオーバーに全車標準となったのはその最新世代で、いろいろバージョンアップされているが、面白いのは小学校の周辺に近づくと音声ガイドと表示で警告してくること。街中だとけっこう頻繁に警告される。また標準搭載となった地デジの映像は、Dレンジのままでも停止中にパーキングブレーキ(足踏み式)を掛ければ映るタイプ。発進するとナビ画面に自動で戻ってくれる。
その他の機能としては、燃費履歴やエンジンオイル等のメンテナンス間隔を管理できる車両情報画面、あるいは左サイドの死角を映し出すサイドブラインドモニター機能が備わる。またタイプPには駐車ガイド付の最新型アラウンドビューモニターも装備されるなど、内容はかなりの大盤振る舞いだ。計11スピーカーのBOSEサウンドシステムは全車標準となっている。
後席も若干「クーペとSUVの融合」風
乗降性のいい前席とは違い、後席で最初に戸惑うのが乗降時の足もとの狭さ。特に降りる時は、Bピラー付け根に足を引っかけそうになる。座ってしまえばしっかりした姿勢が取れるし、ヘッドルームから足先までちゃんと空間もあるが、やはり広々感には欠けるところで、背もたれの角度もやや立ち気味。フットルームもつま先を前席の下に入れることで稼いだものだ。
空間的には何となくCセグメントのコンパクトカーに近い感じで、このあたりも「クーペとSUVの融合」なのかと思うが、当然スカイラインクーペよりは実用的だ。
なお、「タイプP」には運転席ヘッドレストの後ろ側に、コートハンガーを内蔵する。よくあるフックではなく、それより大きめのハンガー風であるのが特徴だ。
トランクは小さめだが、電動復帰タイプの可倒式シートを採用
「ワゴン」だと思ってリアゲートを開けると、がっかりしてしまう小さな荷室。そうかこの瞬間が「クーペとの融合」という感じ。上品なメッキハンドルの付いたトノカバー、敷き詰められたカーペット、傾斜したリアゲートなどを見ていると、アウディTTが思い出されたが、もちろん容量はそれなりにある。ゴルフバッグはスカイラインクーペの2個、同セダンの4個に対して、3個ないし最大4個とのこと。
さらにワゴン的な能力を期待する向きには、ちゃんとサプライズが用意されている。ムラーノでも採用された電動復帰タイプのリモコン可倒式リアシートがそれだ。ワンタッチで背もたれが倒れ、さらにワンタッチで背もたれを元に戻せるタイプだ。ムラーノではオプション設定だったが、今回は全車標準となっている。
背もたれを倒せば、天地の余裕は今ひとつだが、ほぼフラットな荷室空間が簡単に作り出せる。アウトバックとは正反対で積載性は低いが、なにぶんこれも「クーペとSUVの融合」ゆえ。
また床下に収納スペースはなく、巨大な18インチの応急用スペアタイヤとBoseのアンプ内蔵ウーファーボックスが収まる。このあたりもクーペ風だ。